アントレプレナーシップ論 オープンスクールテキスト

第4章 基礎技術

 


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4.1. 一人ひとりの知的生産性

(本文より一部抜粋)

最近は「論理思考が大事」と言われることが多いようです。論理思考とはものごとを筋道立てて考えることです。しかし、いくら筋道立てて考えても、もともとの出発点が事実でないなら考えたことは空想に過ぎません。「なぜだ、なぜだ」と原因を突き詰め、「本当にそうなのか、本当にそうなのか」と検証を重ね、事実であることにこだわり続けることが論理思考の本質です。


4.2. 「発想」の技術

(本文より一部抜粋)

カードに書いたものを組み合わせて、新しいものを考えるというのがまさに発想法です。しかも1つ1つのアイディアに時間を掛けないことも発想法としての重要なところです。時間をかけだすと、思いもかけないことを思いつくのではなく、普通に考えて思いつくことしか思い浮かばなくなるからです。組み合わせから瞬時に頭によぎることが既定の概念にとらわれない新たな発想だからです。


4.3. ミーティングを効率よくする技術

(本文より一部抜粋)

現実の社会では司会をすることは一つの権利です。議題を選別して話の方向を制御する特権があるからです。一方、学生や若い社会人のミーティングでは、司会をやりたがる人はあまりいません。うまく議事を進行できないのでやりたくないと思ってしまうようです。そのため、司会を輪番制でやることが多くなります。輪番で司会をしながら議事進行することに慣れていくということでもよいでしょう。輪番制は訓練としては悪いものではありません。司会やタイムキーパー、板書係、議事録係を輪番でやってそれぞれの役割を知り、やり方を覚えていくことができるからです。

しかし、それぞれの役割を漫然とやっていては、生産性を上げることはできません。それぞれの役割を少し極端なくらい厳密にやると良いです。


4.4. 何をやるかを決める技術

(本文より一部抜粋)

長年、事業計画を作る講座をやっていて発見したことは、「何をやるかを決めることの難しさ」です。講座の途中で行うある会社からもらった課題についてはよく考えることができたのに、講座の最後に自分達のチームの事業計画を考える際にはなかなかうまくまとまらないことがよくあります。「どんな事業をやるか」を決めた時、それをやるとどうなるかは誰にも分かりません。分からないので決められないのです。

私たちの講座では、どんな事業をやるかを決める期間をフェーズA、決定後、計画を作っていく期間をフェーズBと呼んでいます。しいて言えばフェーズAは「事業案探索」期間、フェーズBは「事業案検証」期間と言えます。

フェーズAでは、
・これをやったらおもしろいかな
・これをやったら喜んでくれる人はいるかな
・これをやったら儲かるかな
などを想像します。このフェーズを方法論で確実に攻略することはできません。「発想法」で述べた既知のものを組み合わせる方法で進めます。

既知のものは、たとえば、
・将来像を描いてみる
・チームのみんなが燃えられるテーマを選ぶ
・誰かが本当に困っていることの解決策を考える
・過去に経験したことがある人に聞く
などをやりながら拾い上げ、組み合わせて発想を広げます。
組み合わせた中から何を選ぶかはある程度は論理的にもできますが、最後に決めるのは人です。チームの場合で言えばリーダーが決めます。

これに対して、フェーズBでは「プロジェクト・マネジメント」と言われる方法論を使えます。

プロジェクト・マネジメントでは
・何をやるのか
・いつまでにやるのか
・いくらかけてよいのか
・誰がやるのか
・どうやってやるのか
・できたかどうかをいつどうやって判断するか
・できなかったときどうするか
などを決めていきます。


4.5. チームの活動計画を立てる技術 <ガントチャートあり>

(本文より一部抜粋)

「がんばります」と言っても、目標にたどり着くまでに必要なことが整理できていなくては、目標まではたどり着けません。
(中略)
チームでの活動計画を作る場合は、やることを書き出さなくてはなりません。一人でやることであったら、頭の中にあるだけでもいいのですが、チームでやる場合は共有しなくはなりません。
(中略)
計画の形式にはガントチャートと言われるものがあります。これは、やらなければならない項目を1つやるのにいつからいつまでかかるかの期間を→の長さで表すものです。長期にわたる仕事や、大規模な仕事、機械を稼働させる仕事などに向く表示に形式です。知的な作業には必ずしも向きません。知的な作業は、集中力が最大限続く2時間くらいを単位にして矢印よりもマス目1つひとつを仕事の期間として書くのがよいです。マス目は色を変えるだけでもいいですし、“○”などを書き込んでいくのでもいいです。


4.6. リーダーシップ

(本文より一部抜粋)

リーダーの仕事はメンバー一人ひとりにチームの中でリーダーシップを発揮させることです。これができればリーダーとして合格です。そのためには、メンバー一人ひとりの気持ちや得意なことをよく分かっていなくてはなりません。そして、よく分かるためには、よく会話してよく観察しなくてはなりません。よく話してよく観ることがリーダーの仕事だと言ってもいいくらいです。


4.7. プレゼンテーション <評価シートあり>

(本文より一部抜粋)

発表の様子は10項目からなるチェックリストで毎回、数人の聴衆に評価してもらいます。それと合わせてビデオを見ることでかなりの改善があります。最初の発表の時には事前に練習してこない受講生が多いのですが、2回目の時には練習してくることが多くなります。あまりにひどい自分の発表を見て(ショックを受けて)、練習する気になったのだと思います。自分で必要性を認識することは学習の唯一にして最大のきっかけです。いくらまわりが言っても、本人がショックを受けて、これはダメだと思わなければ練習もしないし、改善もしません。ビデオはそれを解決するとても有効な手段です。