初回講義~新学期から世界を変えるためのマネジメント理論~

~メンバーが「いいえ」といえる環境を作ろう~

今の学校教育では、教師が前に立ち一方通行の講義をする。
生徒は話を従順に聞きながら、教師が板書したものをひたすらに書き写す。

板書を書き写すのは脳の刺激にはなるかもしれない。
だが、その行為にどれだけの意味があるのか自発的に考えられているだろうか。

記憶を高める方法論には、5分後に思い出してみる、1時間後に思いだしてみる、1日後に思い出してみる。
すると長く記憶に残るというものがある。脳の仕組みをよく理解したやり方だ。
その意味で板書するというのは理にかなった行動のように思える。

しかし、今の時代、検索すれば記憶する意味などほぼない。
それを自発的に教師に伝える生徒はまずいない。それを考え、言える環境がないからだ。
「それは違う」「いいえ」と言えない環境がそこにはある。

それが特に顕著なのは部活だろう。部活では顧問の「バカヤロー」「何回言ったらわかるんだー」という荒っぽい声が飛ぶ。
ミーティングでは、監督が喝を入れる。新入生は、掃除と球拾いを言いつけられ、従順に実行する、自発的に何かをする時間はない。

勿論、掃除や球拾いから学ぶことは多いにある。
だが、それは1年間「言われたからやった」で学べる事なのか?
新人だけがやる理由は?先輩や先生がやらない理由は?
反抗をせずとも、こういった疑問を持ったことは誰しもあるだろう。
だが、実際に口にしたものはあまりいないだろう。

先輩が、先生が言ったから。
そんな理由で無思考に従う新人たち、議論1つ交わされずただただ行動する環境。

いつまでもこんなやり方でいいのだろうか。

新人のような経験がない人でもネットを通じて様々な知識を得られるのが今の時代だ。
先生が、先輩だけが知っている価値あることがどれだけあるだろう。
目の前の新人と自分たちにどれだけの差があるだろう?
それを考えず、議論の余地なく押し付けるから「やる気」を消失させてしまうのではないか。

そろそろ、こんなやり方は変えた方がいい。
自分たちに必要なことを自分たちで探させ、自分たちで成長する方法を決めさせる。
そんなやり方が時代に合っているのではないか。

アントレプレナーシップ論オープンスクールの初回の講義で、「メンバーが自ら考え、組織の方向性を決定する」ボトムアップ理論を題材にしたグループワークを行った。
「自ら思考し、組織の方向性を決定する」事を学んだ受講生が新学期、初めての講義、初めての部活で実践してくれれば、講義も、部活も変わっていく。1人1人の自発的な思考と行動が世界を変える一歩になる、そんな事を感じさせてくれる初回講義だった。

以下初回講義内容の抜粋

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【グループワークの題材】

広島県立安芸南高校サッカー部監督の畑喜美夫氏によってボトムアップ理論と名付けられたチーム運営の考え方がある。畑監督は、選手時代は全日本に選抜され、指導者としてもインターハイ優勝に導いた実績がある。畑監督は全国で講演され、著書もある。部活動の見学希望者も後を絶たない。畑氏のボトムアップ理論を取り入れているサッカー部、サッカー以外の部活動、企業が増えている。

ネット上に多数の取材記事があり、まとめてみた。

まず、サッカー部の理念は「サッカーを通じて社会に通用する人間力を高めること」となっている。勝利至上主義ではない。

部活動の特徴を上げてみる。

雨が降って練習が中止になると「やったー」と喜ぶということはないだろうか?上手くなりたいなら困るはずではないか。ほんとうは練習が楽しくないのでは。楽しくない生活、楽しくない部活でよいのだろうか。

平日5日間のうち、練習は2日!(このやり方でインターハイ日本一になった実績がある)。残りの3日間は何をしても自由。自主練習をする選手も多い。

本当はよくわかっていないこと、納得していないのに「はい」といって言ってしまうことはないだろうか。入部したとき、「あれをしなさい」「これをしなさい」とわれれば「はい」と答えてしまうだろう。これが続くと「はい」が習慣になってしまう。学校や部活はそうなっていないだろうか。「はい」からは部員の本当の心の中は見えない。最初は監督や先輩を含めお互いの言動や行動を観察することに努める。そうやって心の奥にあることを掴んだ上で、関係性をスタートさせる。

まず「いいえ」と言える練習をする。なんでも「はい」と言っていては対話にならない。本音で語り合うには、年齢が低くても気が弱くても「いいえ」と言える環境づくりが大切。年長者は若年者が意見を言える環境を作ることに努める。試合中は上下関係なく、しっかり声をかけあってプレイして、ピッチから出たら上下関係をつけている。

試合のスターティングメンバーの選出について監督は口出しせず、1年、2年、3年の全部員の話し合いで決める。人選にあたりマイナス評価をすることはなく、プラス評価で決める。そうすることで、誰も存在を否定されることなく、もっと頑張ろうとなり、チーム全体のレベルが徐々に上がっていく。

いろいろ話し合って、決めきれない時は、キャプテンが決める。その時は、なぜ彼が選ばれるべきだったのかについて必ず説明する。キャプテンになった選手は最初は大変に思う。しかし、すぐに慣れる。

練習試合をするときは、ハーフタイムに互いのチーム同士で手の内を明かし合うそして互いにそれが上手くいったのか、ダメだったのか、もっとレベルアップルするにはどうすればいいのかを話し合って後半を戦う。ミーティングはファシリテーターという司会役が仕切り、みんなの意見を引き出す。

ミーティングはファシリテーターという司会役が仕切り、みんなの意見を引き出す。

整理整頓はミリ単位で行う。毎日漫然と同じことはやらず、毎日コンセプトを決めて、一から考えて整理整頓する。ミリ単位の精度の感度を高めることで、パスやシュートもミリ単位で考えられる感性が育つ。

サッカー部が強くなっていくので、他の部活の部員が興味を持ち始め、バレー部やバスケット部、そして野球部にも伝番し、結果的に学校全体が対話のできる部活になっていった。

似た組織運営は、米国でもホラクラシーやティールと呼ばれて注目されている。

<グループディスカッション>

3人から4人で話してください。

  • この考えにどういう印象を持ったか?
    やってみたい、無理だと思う(なぜなら)、信じられない。
  • みなさんの、部活、サークル、研究室はどうか?比較して、違う所は、同じ所は?
  • この講座でこういう運営をしてみたいか?嫌だと思うか

<グループワークで出てきた意見>

  • 部の目標だけでなく、練習などの1つ1つの行動を全て自分たちで決めるやり方は素直にすごいと思った。今まではどこか誰かが考えてくれると思っており、自分で考える事を知らぬうちに放棄していたように感じた。
  • 自分の研究室は、完全な上位下達で、メンバー同士もほとんど会話がない。こういうものだと思考停止していたが自発的な動くことを怠っていた。
  • 1つの目標に向かって進むためには、やる気が疎らなメンバーをまとめるためにどうしても強制管理が必要だと思っていたが、安芸南は生徒の自発性を活かしたやり方で全国に出ている。どのようにチームがまとまっていったのかもっと学びたいと思った。
  • 会社だと、年齢や経験に明確に違いがある。だが、それを理由に思考停止、行動を止めてはいけなかったと感じた。
  • 自分がいた部活(アメフト部)でも同じことをやろうとしたが上手くいかなかった。思えば意図的に「いいえ」と言いやすい環境をつくるプロセスをやっていなかったと思う、非常に参考になった。

どの受講生も内容の違いはあれど自分なら・・・という言葉で語ってくれた。
やはり提示されている「思考停止し、上に言われたことをただやる」事に対する問題意識、それを感じる体験が誰にもあったのだろう。
だからこそ、そのやり方である必要はなく、あるべきを自分で考え行動する意味を知った受講生がこれからどのように動いていくのか3か月の講座の中で見守っていきたい。

皆さんも新学期、新年度に思い切ってクラスや職場でこの題材を議論してみたらどうだろうか。
アントレプレナーシップ論オープンスクールでは議論・結論まで30分で実施しら。時間の問題ではない。
このディスカッションをして、「あるべき指針と行動」をメンバーが自ら考え実施したら、組織の閉塞感はなくなるだろう。
それが、日本中に広がったら、それこそが社会変革なのかもしれない。

アントレプレナーシップ論オープンスクールへの参加はまだ可能です。
ご希望の方は下記のフォームから申し込み下さい。

http://mediafrontier.main.jp/ops/

4月26日19:00-21:00 受講にあたっての追加説明会開催

会場:文京シビックセンター

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