アントレプレナーシップ論 オープンスクールテキスト

第2章 大義とチームワーク

 


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2.1. アントレな人が大事にするもの ――「大義」と「チームワーク」――

(本文より一部抜粋)

アントレプレナーシップ講座では、毎年、いくつかの会社の経営者から課題をもらうようにしています。経営者の方々は一人ひとり個性的です。しかし、おっしゃることは驚くほど似ています。彼らは「事業をする上で大事なことはなんですか」という問いに対して、多少言葉は変わりますが必ず「大義」と「チームワーク」と答えます。


2.2. 「大義」とは何か

(本文より一部抜粋)

「大義」は「ビジョン」と言われたり、「ミッション」と呼ばれたり、あるいは「動機」と言われることもあります。何がよい「大義」で、何がよくない「大義」なのかは一概には言えません。そして、1行か2行の「大義」を言葉にすることはのた打ち回るほどの頭脳の労働を必要とします。「思い」はそう簡単には「言葉」にはなりません。
(中略)
たとえば、「大義」について、いくつかの案が出てきた場合、仮に、それらを「いくつかの評価軸(例えば、社会性、収益性、成長性、自分達の強みなど)で点数をつけて、一番点数が多いものを選ぶ」としても、必ずしもしっくりしないことが多いでしょう。要素に分解した評価を見ても、全体を現さないからです。
また、「心が動けば体が動く」という言葉をある経営者からもらったことがあります。私はこれを基準にすることが「大義」を決める際に良いのでは、と思っています。あることを「大義」としたとき、それを実現するためにチームのメンバーが自然に行動してしまうならいい「大義」であり、起こせないなら何かが違うという判断基準です。


2.3. 「チームワーク」とは何か

(本文より一部抜粋)

やる気が出ないメンバーは、「湿った薪(まき)」のようなものです。乾いている時にはとてもよく燃える燃料なのですが、今は湿ってしまっているのです。ですからなかなか火はつきません。自分がどんなに熱く燃えても湿った薪を燃やすことはできません。少しずつ温めて、乾かして、自分で燃えてもらわなくてはなりません。アントレプレナーの仕事のほとんどはこの湿った薪を温めて自力で燃えるようにしていくことだともいえます。例え湿っているとしても、自分の身の回りに薪があることに感謝すべきです。メンバーがいるということだけでもありがたいことです。実は、自分自身も他のメンバーからは湿った薪だと思われているかもしれません。あっちでもこっちでも湿った薪同士が少しずつ温めあっていけば、いつか、強力な炎となって燃え上がります。これがチームの目指すところです。


2.4. 大義とチームワークの演習

(本文より一部抜粋)

実際のアントレプレナーシップ論オープンスクールは3.5カ月間に二つの企業の実際の経営課題と自分達のチームの事業計画、合わせて三つのテーマに取り組みます。最初の2週間が自分達の事業計画、次の4週間が最初の課題、次の4週間が二つ目の課題、残りが再び自分達の事業計画の期間としています。


2.5. チームワークの事例

(本文より一部抜粋)

「アントレプレナーオープンスクールでこれまでにあったチームの様子を紹介します。
(中略)
どのチームも必ずといっていいほど逆境を経験します。スタートの状態が悪くてもだんだん盛り返してくるチームもあります。人数が少なくなってしまっても良い結果を残せるチームもあります。スポーツと違って、能力やリソースの差が決定的な実力差にならないのが事業計画での競争です。事業計画が求める知の能力は無限大で、自分たちを信じることができれば、逆境でも機会が訪れるものです。