5分でわかるTissue Engineering -STAP細胞もiPS細胞も使わない再生医療の可能性-

はじめに-Tissue Engineeringって?-

Tissue Engniering、直訳すると組織工学。日本語では再生医療とも訳されたりします。
この言葉は、90年代後半、Vacanti教授らにより、ある衝撃的な発表とともに造られた言葉です。
Vacanti教授らは、Vacanti mouseと呼ばれる奇妙な姿をしたマウスを発表し、これを自らが創りだしたTissue Engineeringの成果だといいます。
※Vacanti mouseは、中々パンチが強い見た目をしているので、写真はここには載せません。ググる際は自己責任でお願いします。

Vacanti mouseって?-「耳ネズミ」の意味を問う-

さて、あたかも背中にヒトの耳が生えたようなマウスVacanti mouse、いったい何がどうしてこんなことができるのか。
あれは本当にヒトの耳なのか。もちろん違います。ではどうやって作ったのか。
それは、ポリグリコール酸という生分解性ポリマーを耳の形に成型し、その上で軟骨の細胞に培養し、
それをヌードマウスと呼ばれる特殊なマウスの背中に移植したものです。
この研究ののすごいところは、ポリマーを加工することで、私たちの身体が形作られるプロセスの一部を再現し、
それをコントロールできる可能性を示したところにあると筆者は考えています。
では、この研究成果は他の研究者たちにどのような影響を与えたのでしょうか。

「カラダにやさしい」から「刺激を与える」材料へ

従来、材料工学の一分野である生体材料学と呼ばれる学問分野では、カラダに触れてもネガティブな刺激を与えない、
言い換えると「カラダにやさしい」材料を開発し、現在まで医療機器などにその成果が活かされてきました。
Vacanti mouseの耳を作ったポリグリコール酸もそうした「カラダにやさしい」材料のひとつです。ところが、
Vacanti教授らが提唱したTissue Enginneringの衝撃は、そうした研究者たちを「カラダにやさしい」材料の研究から、
「適切な『刺激を与えて』細胞をコントロール」する材料の研究へと駆り立てました。現在この研究分野は主に、
バイオマテリアルと呼ばれ、多くの研究者が参入しています。近年に出たインパクトの大きい成果としては、
2009年、東京大学の竹内昌治先生のグループから発表された、いわゆる細胞人形
(http://www.hybrid.iis.u-tokyo.ac.jp/research/3dtissue#cellbeads)などが有名です。

さいごに-再生医療は実現するの?-

では、こうした研究はどこに行き着くのか。再生医療はいつ実現するのか。
その答えはわかりません。でも、確実に再生医療の実現に近づいているのは確かです。
Tissue Engineeringが非常に興味深い点として、研究のゴールが再生医療の実現に限らないことです。
あるものは再生医療に、あるものは医療機器に使われ、あるものは気づかないうちにあなたの生活に
入り込んでいるかもしれません。そうした目線でニュースや身の回りのものを見て、
新しい世界の入口を探してみてください。

(by 西山)

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